インクの沼の入り口で踊る者
万年筆とそこを取り巻く界隈には万年筆沼、紙沼……そしてインク沼があるという。
僕はそれぞれの入口で愉快に踊る程度のことしかしていないので深いことは知らないのだけど、それぞれに深淵があるようで中々に恐ろしい。
カメラやらレンズにもあるらしいけど、僕はそっちも浅瀬に居るので詳しくは知らない。
今回はインクの世界から少し距離をおいて手持ちのインクで済ませていたうちに気づいたら始まっていたシリーズ。
寺西化学工業株式会社のギターブランドから出ている大正浪漫ハイカラインキよりSALON de VIOLET(サロン・ド・ヴァイオレット)をセレクト。
ギターブランドは他にも鮮やかな色主体の万年筆でも使える彩色インキ、ラメ入りでつけペンで使うことが前提で売られているスパークルインキなどがある。
今回はある程度普段遣いする万年筆にはすでにインクが入っている関係もあって、ガラスペンで試筆する。
このガラスペンは文房具の専門店であるペンハウスさんの自社ブランドであるPentとガラス作家の池原 敬氏のコラボ商品であるガラスペンとペン置きのセット。
インク瓶を開けると空気が入る音がするのできっちり密閉されているようだ。
未開封であれば長期保存にも耐えられそう。気に入ればストックしておくのも良さげ。
このあたりはちゃんと工業製品しているのでとても良い。
僕は紫色が好きで手持ちのインクであればPentと台湾の藍濃道具屋(レンノンツールバー)がコラボしたインクである源氏物語が大変な好みなのであるが、あのインクは限定販売で且つもう在庫がないため二度と手に入らないこともあってあまり使えない状態になっている。
そうなると紫のインクが追加で欲しくなってくるわけで、今回購入したものについては色が好みというのもあるのだけど、何より流通もしっかりしていて、限られた専門店以外でも販売している点や限定インクではなくいつでも買えるという点を重視した。(PARKERやPelikan4001とかと一緒)
小型の文具店で売られていることは極めて稀であるが、Amazonやヨドバシカメラで買えるというのはとても大きい。
色味としては藍濃道具屋の作った源氏物語が染め物ルーツ故にか少し明るくてやや淡めの紫色であったのに対して、こちらのインクは角度によっては黒みが強くなり、光の角度によっては深い菫色になる。
水で伸ばした感じだと赤紫系と濃いブルーブラック系(MONTBLANCのミッドナイトブルーとかそっち系)の要素が混ざっているような感じかな?
ネットで色見本は見ていたのだけど、実物を試筆してみるとより気に入った。
今回はガラスペンなのでフローについてはいまいち判断できないのだけど、近日中にどれかの万年筆に入れてみてそこも見てみたいと思う。
流石に公式の書類等には使えないのだけど、色が濃いので普段遣いにかなり良さそうだと思う。
ツバメノートのインクコレクションカードもまた増え始めた。
悩みは、机に入れてる開封済みのインクが増えてきたので置き場が少し怪しいこと。限定インクや廃盤インクで使用率が低いものは棚に移動させて収納するのも考えている。
あとこれは次の物欲にくっついてきたインクのミニボトル。
……続く?