価格改定前に滑り込んで……(追記あり)

2024-11-14

このタイトルに既視感があるという方は鋭い。
前に万年筆を購入したときの記事も同じようなタイトルだった。
それについては以下。

僕自身は万年筆をすでにそこそこ所有していることもあって、気になっているものから購入に至るには値上げくらいのインパクトがないと中々動けない。(或いはデザイン等で一目惚れして気絶するか)
今回の価格改定は国産メーカー三社が発表していて、特に万年筆への影響が大きいのがPILOTとSAILOR、PILOTは今年の1月1日にも一度価格改定が行われており、Pelikanのスーベレーン805を直前に購入していなければカスタム823をその時に買っていたと思う。
PILOTの価格改定は年内で二度目となって10月1日に今より更に価格が上がる。
僕が前から気になっていたカスタム823も今回25%ほどの小売基準価格値上げが行われるということで、今回も急遽迎えることになった。

PILOT Custom823

購入店舗はいつもお世話になっている大阪の文具通販会社、株式会社ライムラックスが運営するECサイトのペンハウスさん。
今回は大量筆記用のP式万年筆ということで大容量の安いPILOT純正BBも同時に購入。

カスタム823は黒・茶・透明の三色展開で、今回はP式万年筆ということで軸内にインクがたっぷりと入ることから鑑賞の楽しみも考えて透明軸を選択。
さっきからP式、P式って書いてるけどなんぞや? という人もいると思うのでお答えすると、万年筆って今市場で新品で買えるモデルでよく見かけるのはカートリッジ式、回転吸入式、カートリッジとコンバーターを使うことで回転吸入式を切り替えて使うことができる両用式の三種。
今回購入したP式というのはプランジャー式と呼ばれる方式でPILOTだとカスタム823、他にTWSBIのVacuumシリーズ等で採用されている今ではちょっと珍しい吸入方式となる。

これを押し込むことで真空状態を軸内に作り出し、一気に吸入する。(なので押し込むときに硬いし、インクに浸したペン先からブクブクと空気が出る)

控えめで半分くらいしか入らなかったのだけど、しっかりやれば7~8割くらいは入るらしい。

カスタム823はペン先の選択肢として、B(太字)・M(中字)・F(細字)の三種に特殊ペン先のS(シグネチャー)を加えた合計四種。
今回はPILOTの金ペンの普通のペン先の書き味を知りたくてM(中字)をセレクト。(いつかシグネチャーも欲しい)
インクフローが良いと評判の純正のBlueBlackを吸わせて試筆してみたところ、確かにフローは潤沢だけど、国産万年筆のMなので海外万年筆(Pelikan)のFくらいの字幅な感覚で使いやすそうではある。
ニブのスペックについては14Kの15号で、カスタムシリーズの中では最大のサイズとなる。(手持ちだとカスタムヘリテイジ912のフォルカンが10号ニブと一回り小さなニブとなっている)僕の中ではCocoonのSUSニブでも結構撓る印象があったのだけど、この15号ニブは更に紙への当たりが柔らかい。
書き出しのスキップ(かすれ)やペン先のズレ等に由来する引っかかり等も感じない、流石の品質。(国産万年筆の箱出しだと品質が一番安定しているような気がする)

P式万年筆は尾栓を緩めてから書くのだけど、この万年筆はずっしりと重く尾栓を緩めると重心が少し変化してやや違和感がある。
このあたりは書く前の尾栓を緩めることも含めてやや慣れが必要かもしれない。

今日さっそくいろいろと書いてみたのだけど、既にカスタム823のシグネチャーニブが欲しくなっている僕がいる。
この万年筆って実用万年筆としては、ゴールの一つなように感じる。
メンテナンス面でも近所の文具店に預けたらPILOTで結構早く対応してもらえるからね。(しかも安い)

PILOT BlueBlack 70ml

定番インクなんだけど、サイズバリエーションがあって30mlとこの70ml、ポン酢瓶とか言われる350ml。
70mlはインク吸入補助のリザーバーが入っているので、これを使うことで大きな15号ニブを持つカスタム823でも安定して吸入することができる。

国産メーカーと比べるとPLATINUM万年筆のブルーブラックほどは青くないけど、SAILOR万年筆のブルーブラックほど黒っぽくない中間くらいの色味。
ややレッドフラッシュが出やすいのかもしれない。

割とシンプルな色味で水筆で伸ばしても別の色が出てきたりするということはなさそう。
定番の純正インクで実用性最優先のインクなんだろう感じがしてこれはこれで個人的には好感触。

8月22日追記

あれからしばらくカスタム823でいろいろと書いたりしてたんだけど、まだまだ新しくてペン先が馴染んでないというか、ペンポイントで紙に接すると思しき感じの面ができて書き心地がよくなるように感じるのだけど、今はまだまだその域には行ってない。(買って半月くらいだしそんなもんです)
ただ、その状態でも書いてたら重さもほど良くて気持ちいい感じにスルスル書けて気に入った。

洗浄した……わけじゃないです。
僕のやらかしです。
フラグ回収ともいいます。

まぁなんか届いたよね。
カメラとか好きな人だと馴染み深いと思うシュッピングループのキングダムノートから。(マップカメラと同じ系列)

……同じの買ったの? みたいな勘違いはしてほしくないのですぐにネタばらしをするけど字幅が違う。

インクが入ってる方が今月上旬に買った字幅Mのカスタム823。
新品は本日(8月22日)に届いた字幅S(シグネチャー)のカスタム823。

とりあえずインクを吸わせるわけだけど、やっぱりプランジャー式のブシュッって一気に入るのは気持ちがいい。
今回追加した字幅はシグネチャーの名前が示す通り署名用とされるもので、僕はそんなに署名とかしないのだけどこれが書写とかにも良さそうだったりする。ペンポイントは巨大で横線が中字(M)、縦線が極太(BB)相当になるらしい。
太字って人によっては扱いが難しいらしいのだけど、僕自身はペンポイントの手ごたえで紙に当たる角度がわかりやすいし、プラチナ万年筆でさらに太い特字(C)を所有してるし実は好きな部類だったりする。
カスタム823はインク吸入量がかなり多いので、太字系との相性が間違いなく良いと思うし。

太さの比較としてはこんな感じ、右上にある線はPILOTのcocoonの字幅F(細字)だけどかなり太さが違うのがわかる。
まぁこのMとSがあれば大体問題ないし、万年筆はしばらくもういいかなぁという気になってる。

PILOTの値上げが迫ってなければこんなにまとめて買うこともなかったんだけど。